(情報更新)どんつく祭り/2018年で最後!!二度と会えなくなる前に、どんつくしよう。

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2018年1月、衝撃的なニュースが耳に入った。



「どんつく祭り、2018年6月で終了」



静岡県の伊豆稲取で50年以上に渡って開催されてきた男根崇拝の祭り・どんつく祭りが今年で終わってしまうのだという。

近年は過疎化によって祭りが存続できなくなるケースがよくあるが、このどんつく祭りは決して小さな祭りではない。温泉地という土地柄もあり観光客も多く、地元の若者も集う地域に愛された祭りだ。男根祭りとしての人手や知名度、活気は東の雄・かなまら祭りと西の雄・田縣神社豊年祭に次ぐものではないかと勝手に思っている。



実は何を隠そうこのブログを立ち上げるきっかけとなったのはこの「どんつく祭り終了」のニュースだった。

どんつく祭りの終了の要因は主に観光客の減少であり、「予算を他の事業に振り分けるべき」との意見が多く出たことにあるという。
つまり、「男根祭りに使う金があるなら他の物に使おうよ」ということであり、男根崇拝の祭りを愛する者としてはあまりに悲しすぎる結論だった。男根祭りのお金…無駄金じゃ…ナイヨ…。

そして少しでも何か発信していれば違う結果になったのではないだろうか、という思いも抱いた。しかしもう終了が決まってしまったものを悔いても仕方ない…。ならばこの祭りの素晴らしさについて発信することで、最後のどんつく祭りの盛り上げに僅かなりとも協力できるのではないだろうか?と思い立ったことがこのブログ立ち上げの理由なのである。


私はたった二度しかこの祭りに参加したことがなく何かを語れる身分ではないが、是非この記事を読んだ方々が最後のどんつくに参加してくれれば幸いである。



さて、二年前の2016年、私は初めてどんつく祭りに参加した。

巨大男根モニュメント 


祭りは毎年6月の第一土日に行われている。(ちなみに今年のラストどんつくは日曜日だけの開催予定らしいので注意されたし)


祭りの開催場所は稲取港だが、どんつく神社は近くの山の中腹にある。
当日は既に御神体の男根は港へと担ぎだされているので本殿の中は空となっていた。




なお、神社の横にあった由来書きによれば「二千年前より伝わる夫婦和合、子孫繁栄、無病息災を祈願する祭り」とのことだが、1973年の九重京司のレポートによれば


江戸時代に入って、稲取の地で「赤はら」と呼ばれた赤痢が流行ったので、生命力の脈打つたくましい男根の精気あふれる威力によって、その悪疫や邪悪を追放すべく、天狗の面をかぶった若者が、大きな木製男根を持って民家を一軒一軒まわり、すごい声をあげて家の表から入って裏へと抜け、邪気を追い出す習俗が生まれたのである。しかもその男根を祝棒として、女性の腰のあたりを前や後ろから突き、生殖妊娠をもあわせて希求した。素朴な住民は「おめんさんが来た」と有り難がり、微塵も猥雑感など抱かなかった。(『温泉41』)


とあり、むしろ本来は夫婦和合よりも厄除け・病気除けの儀式として始まった祭りであったと考えられる。

もともとこの地域には原始信仰の女神を祀る山の神神社と、八幡様、三島明神、スサノヲノミコトを祀る3つの神社があり、これら神社合同の神事がこの「あかっぱら」と呼ばれる厄除けの儀式であったという。『伊豆風土記』『静岡の年輪』のあかっぱらの紹介を要約しつつ以下に紹介したい。

九重氏のレポートの通り、由来は二百年ほど前の江戸時代、赤痢(あかはら、あかっぱら)が流行って死者が出た際に山の神に病魔退散のお祓いをお願いしたことに始まる。

その方法は赤い天狗と緑の天狗(赤いきつねと緑のたぬきっぽくて語呂が可愛い)の面をつけた若者が山の神に奉納してある木彫りの男根を持って、患者のいる家を一軒一軒回り、あかっぱらを追い出すというものであった。

以前は7月13~15日にかけて行われていたもので、まず夜中丑三つ時にスサノヲ神社の神殿にこもった若者たちが長さ80センチほどの木で男根を形作り、神前に供える。
そして13日に明神、14日に八幡の神輿が氏子に担がれて海岸に設けた仮屋に安置されて一晩過ごし、海難防止を祈る。そして15日にスサノヲの神輿が下ってくるとき、赤・緑の天狗の面をつけた若者が登場して「あかっぱら」を行う。

ここで既に赤痢を意味する「あかっぱら」が儀式そのものの名称になり、更に天狗のことを指す名称になるのが面白い。

夕刻、急な石段を神輿行列がくだる。天狗役を務めるのは二十歳を迎えた青年で、海水をまいて道を清める羽織姿の塩花(露払い)のうしろについて歩く。行列が最後の石段を下りた途端、天狗たちはうなりながら町の中に走り出し、木彫りの男根を突きつけながら若い娘を追い回したりする。
そしてそのまま民家に飛び込んでその家の人を次々に突き飛ばす。突き飛ばされると一年間無病息災であるとされ、分かりやすいところでいうとナマハゲのような機能を持っていたようだ。泣く子供もいたという。

何軒かの家を回ると、次の地区の若者が天狗役を引き継いで交代する。こうして町中すべての家に「あかっぱら」が訪れて厄除けの儀式が終わる。

ちなみに天狗の面を使うのはスサノヲ神社の氏子の長老のアイデアによるものだと伝わっているという。スサノヲといえば天狗と同一視されることがあるものだから、スサノヲ神社の氏子が持ち出したのだろう。


以上が現在稲取で行われている(けど今年で終わっちゃう…泣)どんつく祭りの前身・あかっぱらの祭りである。


そしてこの儀礼を当時の観光協会会長が観光客誘致のために行事化したものが現在のどんつく祭りであり、「二千年前から伝わる」というのは山の神神社が原始宗教の女神の神社であること、石棒(男根を模した石器)が周囲の遺跡から発掘されていることを結びつけたものだ。

とはいえ今年で53回目を迎えるこの祭りはすっかり夫婦和合・子孫繁栄の祭りとしてこの地に定着したと言えるだろう。

また九重氏がレポートした頃のどんつく祭りは昔の厄払いのように旅館を一軒一軒神輿がまわっていたそうだが、現在は祭り会場の稲取港でのみ神輿カーニバルが行われている。


ちなみに、お気づきかも知れないが「どんつく」とはドンと突く、の意である。



さて、どんつく神社をあとにし祭り会場である漁港に向かうと、既に御神体がセッティングされていた。




そのほかにも女性が担ぐ小さい神輿や、2015年に新しく作ったという巨大な男根のモニュメント、そして巨大天狗の顔などが設置され、祭りの本番である夜に向けて徐々に人が集まってくる。








ちなみに祭り前に腹ごしらえしたい、という方には祭り会場のすぐ近くにある「徳造丸本店」の金目鯛定食がもうめちゃくちゃに美味しかったのでオススメ。写真見てるだけでヨダレ出るわ。(徳造丸本店HP)






日が暮れた19時過ぎ頃、まずステージの上で神事が執り行われて祭りがスタートする。



大天狗と小天狗(烏天狗)が男根を神主から渡される。まさしく「あかっぱら」の祭りに登場していた緑と赤の天狗だ。どんつく祭りにおいておそらく前身・あかっぱらの祭りの影響を一番色濃く引いているのはこの天狗だろう。

またもや九重氏のレポートを引くと、


大昔、この地に疫病神が住み、村人を悩ましていたが、天城に住む万二郎、万三郎の両天狗が神木を削り、陽木を作って、この疫病神を追い払った。その後この地に移り住んだ鎮西八郎為朝の孫富岡主税は、一族郎党繁栄のため、この行事を復活し「あかっぱらのまつり」とした。鼻高天狗の赤面と、烏天狗の青面が、陽棒を持って踊り込み、悪魔退散、子宝繁盛のお払いをするのである。毎年七月16日の祭日の二日ほど前、当年二十歳になった若者が、競争で棒を作り早い物が天狗になる習わしである。この陽棒をどんつくさんと呼び、どんつく踊りとなったのである。(『伊豆』)


という由来もあるらしい。由来多すぎだろ…。
おそらくこれは「あかっぱらのまつり」とは本来関係ないエピソードだと思うが、この万二郎、万三郎という天狗は伊豆に多くの伝説が残っており、山の名前にまでなっているそうだ。
八郎為朝というのは源頼朝の叔父である源為朝のことであり、伊豆大島に流刑となる前に稲取にいたようだが、勿論この話も伝説である。こういう謎伝説が後付けでどんどんくっついて祭りの由来などがカオス状態になっていくのだが、それも民俗行事の良さとも言える。


ちなみに天狗はその鼻が男性器を想起させることから性の祭りにしばしば登場する。先日紹介したおんだ祭りもそのひとつだ。


そしてこの天狗ふたりは祭りの間会場を徘徊し、まさにあかっぱらの祭りのように女性をこの男根でついて回っているので、是非訪れる方は厄除け・子孫繁栄のために突かれてみて欲しい。



神事が終わると、いよいよ男根神輿カーニバルの始まりである。



カーニバルと言っても港に設けられた祭り会場の中を往復するだけであり規模は小さいが、その分すし詰め状態となった観光客と神輿の距離が近く非常に活気がある。すごい勢いで突っ込んでくるので危険なほどだ。気を抜いていると間違いなく事故になるぞ!




どうでもいいけど写真を撮る能力が微塵も無いので、ブレッブレの写真しかなくて過去の自分を殴りたい。今年こそは絶対に良い写真を撮りたいので、現在鋭意カメラ勉強中。




全力でワッショイワッショイとやり続けるのは体力的にもきついのだろう、神輿カーニバルは一部と二部に分かれている。2017年はその休憩中に観光客も自由に神輿に乗ることができた。


ちなみに2016年はカーニバルの前に神輿に乗ることができ、私も乗らせて貰ったのだが、そのとき勢い余って男根神輿から落下した。
担ぎ手の方によると、男根から落ちたやつは今までいないらしい。神輿を担ぐ棒に引っかかって命拾いしたのだが、あやうく”男根神輿から落下死”という前代未聞の死に方をするところだった……。


落ちた後、ちゃんと乗らせてもらった。このときは気づいていないが、家に帰ってから足を見たら大きな青タンができていた。



それはともかくとして、第二部の神輿カーニバルが終わるとステージの上では奉納舞や太鼓の披露、餅まきなどが行われて最後まで祭りを盛り上げる。



最後はなんと、巨大な打ち上げ花火!




屋台で販売されていた「女(め)たらし団子」なる男根を象った団子を食べつつ、漁港に抜ける初夏の夜風を感じながら花火を見る。これ以上最高の夏の始まりがあるのだろうか、という気持ちになってくる。

祭りの前の金目鯛定食、漁師町の荒削りな空気感、初夏の夕暮れの高揚感、その夏最初の花火、全てに旅情が詰め込まれていた。

観光客の我々だけでなく地元の人にとっても楽しいイベントのひとつだっただろうと思うと今はただただなくなってしまうことが寂しいが、是非最後のどんつくを多くの人に見届けて貰いたい。

(2016.6.3、2017.6.3)



参考資料:日本温泉協会『温泉(41)』、山田兼次『伊豆風土記』、毎日新聞社『静岡の年輪(下)』、渡辺正臣『伊豆(ブルー・ガイドブックス)』(1971)



日程:ラストどんつく祭りは2018年6月3日(日)!

スケジュール
19:00 オープニング
19:05~19:20 祭行列&神事
19:20~19:50 神輿練り歩き
19:30~      稲取温泉の女将さん達による振舞い
19:40~20:10 芸妓踊り(終了後 来賓挨拶)
20:25~20:30 餅まき
20:30~20:45 花火打ち上げ

詳細はこちら:http://www.inatorionsen.or.jp/blog/

場所:サンライズテラス(以下の地図を参照)

日曜の朝行われる稲取の朝市も楽しいので併せておススメ!




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